2013/11/3

〜妻を亡くしたある男の物語〜【オリジナル設定】

ある田舎に若い夫婦がいました。
裕福でないけれども二人は幸せでした。
しかし・・・・

病弱な妻はほどなくして病に倒れてしまいます。
そして不幸にも亡くなってしまいました。
悲しみに打ちひしがれる男は、
妻の死をうけいれることが出来ません。
しかし男は考え付きました。
そして男は人形の研究にいそしみ始めました。
そう、妻を再生させようと。

人形師として男は有名人になりました。
それほど出来が素晴らしかったのです。

しかしそれは男にとってどうでも良いこと。
妻の再生が目的ですから。
そして特に妻によく似た二体が。
男の寵愛を受けるその二体は、
白い人形は妻にそっくりな顔を持ち、 黒い人形は妻の目の色と鼻の趣向を持っていました。
念願かなった男は、失った時間を取り戻すかのように過ごします。
二人とともに食事をしティータイムを楽しみ、
白き人形とともに踊り、黒き人形とともに花をめで、
三人で踊りを楽しんでいたりして過ごしました。
それはそれは男にとって楽しいものでした。

しかし・・・・

妻の誕生日に誕生日プレゼントを買った男は家路を急ぎます。
しかしそこで家で見たものは・・・
動力のネジが切れて動かなくなっていた二体でした。
彼女たちはただの人形です。
妻はもういないのです。
男はその当たり前の現実にいままで目をそむけてきたのかもしれません。
しかし目の前にはそれをつきつける現実が。
家で酒におぼれ荒れる男。
妻の再生がかなわないならば自分が妻の元へ行くか・・・
生きる気力のなくなった男はもはや人形。 薄ら笑っているのでしょうか。
傍らの人形は泣いているのでしょうか。
静まり返った男の家はもはや動きが止まったかのようです。
ネジを巻くものがもういないように・・・
CAST
ひいろ(人形・白)
あきら(人形師)
聖樹(人形・黒)

PHOTO
皐月涼沙